2022.09.04
【Vol.2】いい経験として”消化(昇華)”できる
ヤングケアラー経験のある”ちょっと先”の先輩の経験談。
ピアサポーターである彼・彼女たちの経験や想いを聞いてみました。
母子家庭の一人息子として育った清水さん。
同居しながら家事・育児を手伝ってくれていた祖母と別居後、お母さんは家事・子育て・仕事を
すべて一人でやらなければならなくなった負担から、鬱になってしまいました。
清水さんは精神的に余裕のないお母さんに代わり家事全般を担うようになりました。
ーどんなケアをしていた?
母の病気がひどくなった中学1~3年生の間、
ご飯の準備・買い出し・洗濯・掃除等、家事全般を行っていました。
母は仕事にはなんとか行っていましたが、家では寝込み、鬱が原因で精神的に荒れていました。
母のストレスの行き場が自分に向くことが多く、過激になることばや行動を
受け止めなければならなかったことが、今思えば大変でしたね。
自分は小学校から不登校気味で、中学校もケアを理由にあまり行けなかったですが
むしろ学校に行かないことで精神衛生を保っていたと思います。
ー当時の思いは?
大変だな、という感覚はありましたが、まだ狭い世界しか知らなかったので、
それが普通くらいに感じていました。
しかし高校に入って視野が広がり、”普通”を知るようになると、中学時代の普通でなかった生活や
母の荒れる言動を受け止めていた苦しい過去を消化するのに時間がかかりました。
自分は小・中まともに通っていないし、勉強もできない。社会性もない。
高校生になったとき、そんな自分を変えないとやばい、まともな人間になれないと思って、
いろいろ行動し始めたんです。
1対1だと泣いてしまうくらい話すのが苦手なのに生徒会に入ったり、
英語を話せないのに英語のコースを選択したり。
いろんな挑戦自体はすごく楽しんでできましたが、行動して視野が広がれば広がるほど、
”普通”と”自分の過去”とのギャップに悩みました。
高校に入ってから母の様子はだんだん良くはなっていたけれど、
自分はずっと過去のことで苦しみながら過ごしていましたね。
ーいまはどう捉えている?
今はものすごくいい経験だったと思っています。
高校1年生の時に将来医者になりたい、という目標ができて、今も医者を目指して勉強していますが、
きっとそこで得られた精神的強さがないと、今もがんばれていなかったと思います。
最初の模試は下位1%くらいだったのに、今思うとよく目指したなと…
当時は自己肯定感がすごく低くて自分のことを嫌いでしたが、将来はまともに生きたいと思っていました。
ーヤングケアラーへのメッセージ
一番伝えたいのは、今している経験は自分次第でいい経験に”消化(昇華)”できるということです。
こういう経験は、ある意味他人と”異なれる”、特色を出せることだと思っています。
自分も一時期は母から受けた過去に悩みましたが、片親で男の子をひとり育てるのは
すごく大変なことだと思うし、今では心からありがとうと言えます。
もし今悲観している方がいたとしたら、必ずいい経験に消化(昇華)できる。そこは伝えたいです。
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