2023.12.14
【vol.9】未来をあきらめないで
ヤングケアラー経験のある”ちょっと先”の先輩の経験談。
ピアサポーターである彼・彼女たちの経験や想いを聞いてみました。
両親と3人暮らしをしていたカナさん。
中学3年生から大学卒業まで、家族の介護や精神的な寄り添いを担っていました。
どのような体験だったのでしょうか。
-どんなケアをしていた?
進路も固まってきていた中学3年生の春に父親が倒れ、2カ月間もの間、集中治療室に入っていました。命は助かりましたが、半身不随と言語障害という障害が残りました。自力歩行ができなかったので、車椅子での生活になりました。身体が思うように動かないので、着替えやトイレの付き添い、食事の介助など、身の回りの世話全般を行っていました。
退院後1か月間は訪問介護のヘルパーさんに来てもらっていましたが、それ以降は主に母が介護し、私が手伝うという生活が始まりました。
言語障害で自分の意思を思うように伝えることができないため、食事やトイレは時間を決めて行っていました。
ほぼ24時間の付き添いが必要な状態だったので、いつ呼ばれるか分からず夜もぐっすり眠れる状況ではありませんでした。
その疲れが出たのか、同年秋頃に母がパニック障害を発症しました。
この時期から、父親の介護だけでなく、母親の精神的な寄り添いや付き添いもするようになりました。
今現在同居はしていませんが、ちょうど良い距離を保ちながら母の寄り添い、見守りを続けています。
-当時の思いは?
親が障害者ということが、とにかく恥ずかしかったです。
「大変だね」と言われることがもう嫌で嫌で、うちは普通だよ。とバレないように隠していました。
高校を選ぶ時の基準も、「同じ中学の同級生がいない高校」でした。
同級生がいない高校に行ってからも、とにかくバレないようにしていました。普通の子どもでいたいという気持ちがとても強かったです。
この頃から、私が家の大黒柱のような感じになっていました。
母の調子は良くなく、父の治療に関する意思決定などもできなくなっていました。
周りからは「しっかり者ですごいね」と言われ、母に代わって、父の治療方針などもわたしが決めていました。
周りから「しっかり者」と言われることで、しっかりしないといけない!というプレッシャーがどんどん強くなっていきました。ケアマネも、母ではなく私に直接連絡をしてくるようになり、励ましだったんだと思いますが「子どもも一人なんだし、あなたがしっかりしないとね」と言われました。こういうことがあったから、当時は、誰かに相談することはダサいと思っていました。
高校2年生の時に、気持ちが大きく変わる出会いがありました。
部活の顧問の先生なのですが、心が軽くなる言葉をかけてくれる人でしたね。
それまで私の周りには、無関心な大人か、過剰な反応をする大人しかいませんでした。
この先生は、ちゃんと手は差し伸べてくれるけれど、過剰に同情せずフランクだったんです。
直接何かを相談していたわけじゃないんですが、心の支えになっていたと思います。何か相談したいことがあったら、この人にできるな。という意味で。
大学に入学するころには、父親の介護認定が下がり、デイサービスに通えるまでに回復していました。私も友人に恵まれたこともあって、大学生活はそれまでより平穏に楽しく過ごすことができました。
高校時代までは楽しむことができなかった青春を謳歌していました。
あと、大学時代に自分と似たような境遇の友人達に出会い、家のことを初めて笑って話すことができるようになったんです。これも大きな変化でしたね。
-今はどう捉えている?
当時の私は、進路や恋愛に対してどこか諦めていて、逃げていました。
諦めなくてよかったのにな、と後悔することもあります。
もっと自分の意思を表に出したり、頼ったりすればよかったですね。
その思いがあるので、今はやりたいことはなんでもやっています!
周りからは「行動力がすごい」と言われるくらいです。
-ヤングケアラーへのメッセージ
どうか自分の未来を諦めないでほしいです。
今すぐは難しくても、大人になってからだってたくさんのチャンスがあるから大丈夫。
今の辛い経験が活きる事もあるかもしれません。そして、夢のために手を差し伸べてくれる人は必ず現れます。
ぜひその手を握り返してみてください。
そんな人を傍に見つけられることが、一番の心の支えになると思います。私も自分自身の経験を通して、なにか皆さんの力になれることがあれば嬉しいです。
そして周りの大人の方には、ぜひ心の寄り添いと、ヤングケアラーの進路や未来の選択肢を広げられるサポートをしてほしいなと思います。
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