2022.09.03
【Vol.1】”強くなる必要はないよ”と伝えたい。
ヤングケアラー経験のある”ちょっと先”の先輩の経験談。
ピアサポーターである彼・彼女たちの経験や想いを聞いてみました。
母子家庭の5人兄弟で育った美紀さん。現在は高校3年生です。
中学2年生から、祖父母が亡くなる高校2年生まで、脳梗塞や認知症を患った
祖父・祖母の介護をほぼ一人で担っていました。
お母さんは夜帰らないことが多く、兄・姉は就職や進学を機に家を出てしまっている中、
当時たまたま別室登校をしていた美紀さんしか、介護をできる人がいなかったそうです。
ーどんなケアをしていた?
祖父・祖母どちらもデイサービスに通っていて、介護のルーティーンはこんな感じです。
【5時半】起床・デイサービスの準備→【9時】デイサービスの送迎・学校の準備して登校
【17時】帰宅後、デイサービスで使用した下着の洗濯→夕飯準備・食事→祖父母を寝かせて就寝
自分しかやる人がいない中で、祖父・祖母ふたりの介護をやらなければいけないのは大変でした。
ー当時の思いは?
小さい頃からおばあちゃん子で、おばあちゃんが全てというくらい大好きでした。
その祖母が認知症になってヒステリックになったり、変わっていく姿を見ながら
介護をするのが、すごく苦しかったです。
でもやらなきゃいけない。
祖母がトイレに行くたびに「みきみき!」と大きい声で呼ばれ、
その度に夜中に起きて付き添わなければいけなかったり。
祖父もいつも気を付けていないといけなくて、家に誰もいないときに
部屋で排せつをしてしまうこともあり、その掃除を母と二人でやることも大変でしたね。
当時はシンプルにわがままを言える人がいなかったので、
「自分がやらなきゃ」「苦しいと思っちゃいけない」と思っていました。
ーいまはどう捉えている?
正直なところ、もっと祖母や祖父にできたことがあったんじゃないかと、罪悪感は残っています。
ストレスでいっぱいになって、「みき!」と呼ばれても無視したり、
「起こさないで!」と怒ってしまうこともあったりしました。
でも、今思えば、介護の経験はしなかったよりはできてよかったと思います。
介護をしていなければ、もっと後悔していたと思う。
自分の人生に起きている現実を全うしたと思っています。
ーヤングケアラーへのメッセージ
自分が苦しいと思ったことを、ないものにしないでほしいなと思います。
苦しいと思うことは悪いことでも、弱いことでもないから、
強がらないで周りに助けを求めてもいいし、「つらい!」と叫んでもいいと思う。
強くなる必要はないよ、って伝えたいです。
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